ポケモン図鑑と英単語帳
少し考えてみてください。あなたのお子様は、こんなことを知っていませんか?
進化:ピチュー→ピカチュウ→ライチュウ
特性:せいでんき
進化:ヒトカゲ→リザード→リザードン
メガシンカ:X / Y
種族値合計:680
特性:プレッシャー
進化:リオル→ルカリオ
メガシンカ対応
何百——場合によっては何千ものキャラクターの名前、タイプ、技、進化条件、特性、種族値。これらを正確に覚え、瞬時に引き出せる。保護者の皆さんはこれを「まあ、好きなものだから」と軽く流しがちですが、私にはこれが驚異的な知的能力にしか見えません。
考えてみてください。ポケモン図鑑の情報量は、中学1年の英語の教科書をはるかに超えています。名前は日本語だけでなく英語やカタカナ混在の固有名詞。タイプの相性は18×18のマトリックス。進化条件にはレベル、アイテム、時間帯、なつき度など複数のパラメータがある。これを苦もなく覚えられるお子様が、"I like soccer." の文が覚えられないはずがないのです。
では、なぜ英単語の暗記には苦戦するのか? 答えは明白です。記憶力の問題ではなく、興味と動機の問題です。
教科書の限界——EriとKotaの問題
最初に断っておきますが、中学校の英語教科書『Here We Go!』は非常によくできた教材です。イラストは親しみやすく、音声教材も充実しており、登場人物のストーリーを通じて文法を自然に学べるよう丁寧に設計されています。教科書を作った人たちには敬意を表します。
しかし、構造的な制約があります。教科書は35人以上のクラス全員にとって「まあまあ面白い」内容を目指さなければなりません。結果として、登場人物のEriは春が好きで、Kotaはドラムが叩ける。Tinaはニューヨーク出身で、Nickはバスケットボールが好き。
……正直に言って、35人の生徒のうち、Eriの好きな季節に心から興味を持つ子が何人いるでしょうか?
これは教科書の「欠点」ではありません。構造的な限界です。35人に同時に教えるなら、こうするしかないのです。どんなに素晴らしい教科書でも、一人ひとりの子どもが「本当に知りたい」と思う内容をカバーすることは不可能です。
お子様が本当に知りたいのは、EriやKotaの好きなものではありません。大谷翔平の好きな食べ物だったり、BTSメンバーの誕生日だったり、好きなYouTuberがゲーム実況で使う英語だったりするのです。
もし英語の授業が「大谷翔平の一日」や「ヒカキンの好きなもの」で構成されていたら——お子様は一言も聞き逃さないでしょう。「He likes sushi. He can throw 165 km/h.」という文を、何の苦労もなく覚えるでしょう。文法の説明なんかなくても。
「難しい」漢字なんて存在しない
ここで、私自身の漢字学習の話をさせてください。
私はカナダ出身で、日本に20年以上住んでいます。漢字検定(漢検)の準1級に合格しました。日本人の方からよく「すごい!あんな難しい漢字をどうやって覚えたの?」と言われます。
でも実は、「難しい漢字」というもの自体が存在しないと私は思っています。
この漢字を見てください。「屶」——たったの5画で、「山」と「刀」を組み合わせただけ。構造的には小学校低学年で習う漢字より簡単です。でも、日常生活でほぼ使わないので「難しい漢字」に分類されています。
漢字が「難しい」かどうかを決めるのは、画数でも構造でもなく、使用頻度だけです。よく見かける漢字は自然に覚える。めったに見ない漢字は覚えにくい。それだけの話です。
では、使用頻度が低い漢字をどうやって覚えるか? 答えは文脈を作ることです。私の場合、刀剣に関する古い本を読むことで、「屶」のような漢字に繰り返し出会う環境を作りました。興味のある文脈で何度も出会えば、どんな漢字も自然に定着します。(フラッシュカードとSRSの正しい使い方については別の記事で詳しく解説しています。)
英単語も同じです。"vocabulary"という単語を「語彙」として暗記しようとすると難しい。でも、お子様が好きな英語のゲーム実況で "Your vocabulary is amazing!" と聞けば、一発で覚えます。文脈と興味があれば、「難しい」という感覚自体が消えるのです。
興味 × 動機 × 緊急性
学習の効率を決める3つの要素があります。
興味(Interest):その情報を知ることで、自分が好きなものへの理解が深まる。ポケモンの技の効果を知りたい。好きな選手のインタビューを理解したい。興味があるから、脳が情報を「重要」と判断し、優先的に記憶に定着させる。
動機(Motivation):その知識が自分にとって役に立つ。対戦で勝ちたいからタイプ相性を覚える。友達と話を合わせたいから新しいキャラの名前を覚える。動機があるから、覚えることに能動的になれる。
緊急性(Urgency):今すぐ必要。明日の対戦に備えて新しい技の効果を確認する。友達がもう知っているから、遅れを取りたくない。緊急性があるから、集中力が上がる。
ポケモンに関しては、お子様はこの3つすべてが最大値になっています。だから何百ものキャラクターを「努力」の自覚すらなく覚えられる。
一方、英語の授業ではどうでしょう? EriとKotaの好きなものに興味はない。英語が将来役に立つと言われても、小学生にとって「将来」は遠すぎて動機にならない。テスト前以外は緊急性もない。3つの要素がすべてゼロに近い状態で、暗記だけを要求される。覚えられなくて当然です。
Ready Englishのアプローチ
Ready Englishでは、この原理を教室の中心に据えています。
文法の枠組みは教科書『Here We Go!』に完全に沿っています。"I like ~." "Do you ~?" "He can ~." という構文を学ぶ順番は同じです。でも、中身を埋めるコンテンツは、お子様一人ひとりの興味に合わせてカスタマイズします。
同じ文法を、違う世界で学ぶ:
サッカーが好きなAくん → "He can kick really hard. He plays for Barcelona. Do you like Pedri?"
料理が好きなBさん → "She can make pancakes. She likes cooking. Do you like strawberries?"
ゲームが好きなCくん → "He can build a house in Minecraft. He likes Fortnite. Do you play online?"
文法フレームは同じ。中身がお子様の「世界」になるだけで、学びの深さが根本的に変わります。
自宅学習も同じ原理です。毎日15分のSRS(間隔反復システム)学習では、お子様の興味に合わせた画像や音声つきのカードを使います。ポケモンが好きなら、ポケモンの画像と一緒に英語を覚える。そうすることで、英語を覚えること自体が「自分の好きなものをもっと深く知る手段」になります。
こう考えてみてください:自分が大好きなものについて、もっと理解できるようになる知識を、わざわざ拒む理由がありますか?
ポケモンの新しい技の効果を知りたいから覚える。好きなアスリートのインタビューを理解したいから覚える。友達と英語でゲームの話をしたいから覚える。学習の動機が「テストのため」から「自分のため」に変わった瞬間、暗記は暗記でなくなります。知識の吸収になるのです。
おまけ:ポケモン的な学び方で、日本の神様を覚えたい
最後に、完全に個人的な話をさせてください。
私は日本に20年以上住んでいるのに、日本の神様(神)の名前がなかなか覚えられません。天照大御神(アマテラス)と須佐之男命(スサノオ)くらいは知っていても、それ以上になると怪しくなります。
属性:光
特技:天岩戸隠れ
属性:雷
特技:八岐大蛇退治
属性:闇
特技:夜の統治
属性:地
特技:国譲り
……どうでしょう。こうやってカードゲーム風にしてみると、急に覚えやすくなりませんか? 属性があって、HPがあって、特技がある。ポケモンと同じフォーマットです。
本気で思うのですが、日本の神様をポケモンのようなカードゲームにしたら、子どもも大人もあっという間に古事記と日本書紀の神々を覚えられるのではないでしょうか。八百万の神ですから、コンテンツは無限にあります。「大国主命はオオクニヌシ型で、属性は"地"、特技は"国譲り"」——こう覚えれば一生忘れません。
もしこのカードゲームのアイデアに共感してくださる方、スポンサーとして一緒に作りたい方がいらっしゃったら、ぜひご連絡ください。半分冗談、半分本気です。
「神カード」——日本の神様カードゲーム
古事記・日本書紀の神々をポケモン風カードゲームにするプロジェクト。
スポンサー・共同制作者を(わりと本気で)募集中。
※ Ready Englishのサービスとは関係ありません。代表の個人的な野望です。
冗談はさておき、ポイントは明確です。人間は、自分が興味を持つものについてなら、驚くほどの量の情報を、驚くほど速く覚えられる。お子様の英語学習にこの原理を適用しない手はありません。
Ready Englishでは、お子様の「好き」を英語学習の燃料にします。
教科書の文法 × お子様の興味 = 一生使える英語力。
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