この記事では、8歳でハリー・ポッターシリーズを英語で読破し、11歳で英検1級に合格したReady English創設者の長男・Issaの実体験をもとに、「多読」がどのように英語力——特に語彙力——を育てるのかをお伝えします。

Issaの読書の軌跡

Issaは幼い頃から本が大好きな子でした。日本語の本も英語の本も分け隔てなく読み、特に物語の世界に没頭するのが好きでした。

5〜6歳:絵本から始まった英語読書

最初は英語の絵本からでした。簡単な文と絵が組み合わさった本を、毎日寝る前に読み聞かせ、やがて自分で読むようになりました。この段階で大切だったのは、「勉強」としてではなく「楽しみ」として本に触れていたことです。無理に読ませたことは一度もありません。

7〜8歳:チャプターブックへの移行

絵本を卒業すると、Magic Tree House、Diary of a Wimpy Kid、Captain Underpantsといった英語のチャプターブック(章立ての児童書)に移りました。分からない単語があっても辞書は引かず、文脈から推測して読み進めるスタイルでした。

これが語彙習得の鍵でした。辞書を引くと「英語→日本語」の一対一対応で覚えてしまいますが、文脈から推測すると「この単語はこういう場面で使うんだな」という感覚的な理解が身につきます。この感覚的理解こそが、テストでも会話でも「使える語彙」の正体です。

8〜9歳:ハリー・ポッターシリーズを英語で読破

8歳のとき、ハリー・ポッターの英語版に挑戦し始めました。第1巻(約77,000語)から第7巻(約198,000語)まで、約1年かけて全巻を読み切りました。

1,084K
ハリー・ポッター全7巻の総語数
約108万語。この膨大な量の英語に「楽しみながら」触れたことで、数千語の語彙が自然に蓄積されました。単語帳では絶対に到達できない量です。

ハリー・ポッターの英語は、児童書としては難易度が高い部類です。魔法に関する独特の語彙、イギリス英語の表現、複雑なプロット——しかしIssaにとっては「次に何が起こるか知りたい」という物語への没入感が、難しさを超える原動力になっていました。

9〜11歳:多読の蓄積が英検に結実

ハリー・ポッター以降も、Percy Jackson、The Hunger Games、さらにはロアルド・ダールの作品群など、興味の赴くままに読み続けました。

11歳で英検1級の勉強を始めたとき、驚いたのは語彙問題の多くがすでに「知っている単語」だったことです。英検1級の語彙は約10,000〜15,000語レベルと言われますが、多読で出会った単語の蓄積がベースにあったため、純粋に暗記が必要な単語は想像よりずっと少なかったのです。

もちろん、英検1級には多読だけでは足りない面もあります。ライティング、リスニング、二次試験のスピーキングにはそれぞれ集中的な対策が必要でした。しかし、その土台となる語彙力と読解力は、何年もの多読が築いてくれたものです。

多読の効果は「語彙力」だけではありません。大量の英文を読むことで、文法の「感覚」も自然に育ちます。「この文、なんか変だな」と気づける力——文法問題を解くのではなく、英語の自然なリズムが体に染み込むのは、多読ならではの効果です。

多読で英語力が伸びる3つの理由

理由①:圧倒的な「量」に触れられる

英語の授業は週に4時間程度。その中で触れる英語の量は限られています。一方、1冊の児童書を読むだけで、数千語〜数万語の英語に触れることができます。多読は、授業では到底実現できない量のインプットを、お子様のペースで提供します。

理由②:「推測する力」が育つ

多読のルールの一つに「辞書を引かない」があります。分からない単語に出会っても、前後の文脈からなんとなく意味を推測して読み進める。この「推測する力」は、リスニングでも、テストの長文読解でも、実際の会話でも役立つ英語の最も実用的なスキルの一つです。

理由③:「楽しい」から続けられる

単語帳を毎日30分開くのは苦痛でも、好きな本を30分読むのは楽しみです。楽しいから続く。続くから量が増える。量が増えるから力がつく。このポジティブなサイクルが、多読の最大の強みです。

「うちの子は本を読まないんです」——多読が合わない子もいる

ここで正直に言わなければならないことがあります。多読はすべての子に合うわけではありません。

実は、Issaの弟であるSotaは、本をあまり読むタイプではありませんでした。しかしSotaも英検1級に合格しています。彼の場合は、YouTubeやゲーム(特にMinecraft)を通じて英語を大量に「聴いて」語彙を身につけました。

大切なのは「多読」という方法にこだわることではなく、お子様が自然に大量の英語に触れられる方法を見つけることです。本が好きな子には多読が最適ですが、動画が好きな子、ゲームが好きな子には、それぞれに合った「大量インプット」の形があります。

家庭で多読を始めるためのヒント

①レベルを下げる勇気を持つ

「小学5年生だからこのレベル」ではなく、お子様が「簡単すぎる」と感じるレベルから始めてください。1ページに知らない単語が2〜3個以下なら、そのレベルが最適です。スラスラ読める快感が、次の本への意欲を生みます。

②「読ませる」のではなく「環境を作る」

リビングに英語の本を置いておく、図書館の英語コーナーに一緒に行く、親が英語の本を読んでいる姿を見せる。「読みなさい」と言わずに、自然と手に取る環境を整えるのが最も効果的です。

③シリーズものから入る

1冊読んで楽しければ、同じシリーズの次の巻を読みたくなります。Magic Tree House、Diary of a Wimpy Kid、Dog Manなど、シリーズもので「次が読みたい」状態を作るのが多読を定着させるコツです。

まとめ:多読は「急がば回れ」の英語学習法

多読は即効性のある学習法ではありません。効果が目に見えるまでに数ヶ月から1年以上かかることもあります。しかし、ひとたび蓄積が臨界点を超えると、語彙力・読解力・文法感覚が同時に花開く瞬間が来ます。

Issaの場合、その臨界点はハリー・ポッターを読み切った頃でした。それ以降、英語は「勉強する科目」ではなく「自分の世界を広げるツール」になりました。TOEIC満点もTEAP満点も、その延長線上にあります。

お子様にとっての「ハリー・ポッター」——夢中になれる英語との出会いを見つけてあげること。それが、多読の第一歩です。

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